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食事に関する漢字「取る」と「摂る」の違いとは?正しい使い分けを徹底解説

「食事を取る」「栄養を摂る

 

どちらもよく見かける表現ですが、「あれ? どっちが正しいの?」と迷ったことはありませんか?

 

同じ「食べる・食事する」といった意味に見える「取る」と「摂る」ですが、実は使われる文脈や意味合いには明確な違いがあります。ビジネスメールや健康指導の場面では、誤用によって違和感を与えることも。

 

この記事では、それぞれの意味・使い方の違い、適切な使用例、注意点などを丁寧に解説していきます。読み終えるころには、「なるほど、こういう時はこの漢字だな!」とスッキリ理解できるはずです。

 

「取る」と「摂る」の基本的な意味の違い

まずは、2つの漢字の意味の違いを整理しておきましょう。

 

「取る」の意味

「取る」は日常的にも広く使われる漢字で、意味も多岐にわたります。

 

  • 物を手に入れる・受け取る(例:資料を取る)
  • 動作を行う(例:休みを取る、点を取る)
  • 食事をする(例:朝食を取る)

 

つまり「取る」は、一般的・広義的な動作や行為を表します。

 

「摂る」の意味

一方、「摂る」は「摂取(せっしゅ)」という熟語に見られるように、

 

  • 栄養素や成分を体内に取り込むこと(例:ビタミンを摂る)
  • ある一定の分量を意識して摂取すること

 

といった、体内への吸収や健康に関連した意味で使われます。

 

食事を「取る」「摂る」——どっちが正しい?

では、「朝食を〇〇」「栄養を〇〇」といった時、どちらの漢字を使えば良いのでしょうか?

 

食事を取る → ◎正しい表現

「昼食を取る」「軽く食事を取る」など、単に食事という行為を表す場合には「取る」が自然です。

 

日常会話やビジネスメールでもよく使われます。

 

例:本日は朝食を取らずに出社いたしました。

例:会議の前に軽く昼食を取っておきましょう。

 

栄養・成分を摂る → ◎正しい表現

ビタミン、ミネラル、カロリー、水分など、体に取り込む成分や栄養を意識する文脈では「摂る」が適切です。

 

例:育ち盛りの子どもにはたんぱく質をしっかり摂らせることが大切です。

例:水分を十分に摂って熱中症を予防しましょう。

 

「取る」と「摂る」使い分けのポイントまとめ

シーン 「取る」 「摂る」
一般的な食事行為 △(やや堅い)
栄養素・成分 ×
健康・医療関連の文書
ビジネスメールでの食事報告
日常会話 △(やや硬い)

 

「取る」と「摂る」具体的な使い分け例文

シーンごとに実際の文例を見ていきましょう。

 

「取る」と「摂る」日常会話の場合

OK

「ちょっと昼食取ってくるね。

「朝は時間がなくてご飯を取らなかったよ。」

 

NG

「ちょっと昼食摂ってくるね。」(※不自然で堅苦しい印象)

 

「取る」と「摂る」健康や栄養に関する文章

OK

「鉄分を多く摂れる食材は何ですか?」

「運動後はタンパク質を意識して摂るようにしましょう。」

 

NG

「ビタミンを取るようにしてください。」(※間違いではないが、やや曖昧)

 

「取る」と「摂る」ビジネスメールや報告書

OK

「本日12時より昼食を取る予定です。」

「患者様には水分をこまめに摂るよう指導しております。」

 

医療・健康業界での「摂る」の役割

特に医療・栄養指導の現場では「摂る」の使い方は非常に重要です。

 

「栄養を摂る」という表現は、「ただ食べる」のではなく、バランスよく・適切に・計画的にという意味合いが含まれています。

 

  • 食事摂取基準
  • 摂取カロリー
  • 摂取バランス

 

これらの言葉はすべて「摂る」から派生したものです。

 

つまり、「摂る」には健康管理の視点が込められているのです。

 

「摂る」が使われやすい熟語・表現

以下のような言い回しでは、自然に「摂る」が使われます。

 

  • 栄養を摂る
  • カロリーを摂る
  • 水分を摂る
  • 必要量を摂る
  • 過剰摂取する(⇔ 摂り過ぎ)

 

これらは「取る」に言い換えると意味が曖昧になってしまうため、正確な文章を心がける場では「摂る」を選びましょう。

 

「取る」と「摂る」どちらでも通じるグレーゾーン

中にはどちらでも意味が通じてしまう曖昧な表現もあります。

 

  • 「しっかり朝食をとるようにしましょう」→ 読み手によって「取る」と「摂る」どちらにも感じられる
  • 「食事をとることが健康に大切」→ ざっくりとした表現であれば「取る」が無難

 

このような場合は、読み手に意図がより正確に伝わる方を選ぶのがコツです。

 

まとめ:「食べる」だけじゃない、“意識”で使い分ける

最後に、「取る」と「摂る」の違いを簡単にまとめましょう。

 

ポイント整理

  • 「取る」は 行為としての食事。一般的な動作を表現。
  • 「摂る」は 成分や栄養の摂取。健康・医療系に強い表現。
  • 文章の目的や相手の理解度に応じて、的確に使い分けることが大切。

 

特にビジネスメールや専門分野の文書では、言葉の選び方が信頼にもつながります。

 

ちょっとした違いを理解し、相手に伝わる丁寧な表現を心がけてみましょう。

 

更に詳しく知りたい方は此方のリンクを参照してください。

  • 「食事をとる」は「取る」?「摂る」? 意外とむずかしい漢字の使い分け
    「取る」は目の前の食べ物を手に入れて食べる行為を指し、「摂る」は栄養素を体内に取り込む行為を強調します。どちらも文脈によって使い分けが可能です。
    https://macaro-ni.jp/37525
  • この記事を書いた人

ゆいと

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