日本語には、似たような言葉がたくさんありますよね。
その中でも混同しやすいのが、「習得」と「修得」です。
どちらも「何かを身につける」という意味で使われることが多いですが、実はニュアンスや使いどころに違いがあります。

目次
「習得」の意味と使い方
「習得」とは?
「習得(しゅうとく)」とは、「学習や訓練を通じて、知識や技術を身につけること」を意味します。
特に、経験や練習を積み重ねて、体で覚えるようなスキルや能力を獲得する際に使われる言葉です。
「習得」が使われる具体例
- 外国語の習得
- プログラミングスキルの習得
- プレゼン技術の習得
- 楽器の演奏技術の習得
つまり、反復的な学習や実践を通して、徐々に自分のものにしていく行為を指します。
語感的にも、「習う」という言葉が含まれていることから、「学んで覚える」というイメージが強いです。
「習得」はこんな時に使おう
- 長期的な練習が必要なスキル
- 身体的・感覚的な能力の向上
- 誰もが独学や実地で身につけられる分野
「修得」の意味と使い方
「修得」とは?
一方、「修得(しゅうとく)」は、「学問や技術などを学び修めて、確実に身につけること」を意味します。
こちらは体系的・計画的に学び、一定の知識や技術を修めるというニュアンスが強くなります。
「修得」が使われる具体例
- 大学で単位を修得する
- 資格試験のための知識を修得する
- 看護技術を修得する
- 教育課程を修得する
つまり、「修得」は正式な学びの場や制度の中で、明確な目標をもって知識や技能を得るという文脈で使われることが多いのです。
「修得」はこんな時に使おう
- 学校や研修など、制度に基づいた教育
- 試験や認定が関わる分野
- 認可・資格など、明文化された成果がある学び
「習得」と「修得」の違いを比較
項目 | 習得 | 修得 |
---|---|---|
読み方 | しゅうとく | しゅうとく |
意味 | 実践を通してスキルを身につけること | 学問や技術を体系的に学んで修めること |
ニュアンス | 練習・体験型、自然に身につく | 教育・制度型、公式に修める |
使用例 | 英会話を習得する、剣道を習得する | 大学の単位を修得する、資格を修得する |
向いている場面 | スキル習得、自己研鑽 | 学校教育、職業訓練、資格取得 |
このように、「習得」はカジュアルで汎用的なスキル、「修得」はよりフォーマルで制度的な学びに使われます。
「習得」と「修得」間違いやすい使用例と正しい使い方
NG例:「TOEICのスコアアップのために英語を修得する」
この場合、英語力そのものを「修得」とするのはやや不自然です。
英語は反復練習を通じて徐々に身につけるスキルなので、「習得」が適切です。
→ 正しくは:「TOEICのスコアアップのために英語を習得する」
OK例:「看護師になるために必要な技術を修得する」
看護の技術は、カリキュラムに基づいた教育を受けて取得するものであり、「修得」の使い方がぴったりです。
「習得」と「修得」どちらでも使える?グレーゾーンの例
実は、場合によってはどちらの言葉も違和感なく使えるケースもあります。
たとえば「プログラミング」。趣味で学ぶ場合は「習得」、大学での授業として学ぶなら「修得」と、文脈によって使い分けが可能です。
こうしたグレーゾーンでは、「どんな学び方をしているか?」を基準にすると、使い分けがしやすくなります。
「習得」と「修得」実際の文章での使い分け例
- 私は独学で動画編集スキルを習得しました。
- 大学で教育学を修得し、教員免許を取得しました。
- 日常英会話を習得するために、海外ドラマを毎日観ています。
- 技術研修を通じて、安全管理の知識を修得しました。
このように、「自分で練習して身につけた」なら「習得」、「体系的に学んで修めた」なら「修得」と考えるとシンプルです。
まとめ:正しい使い分けで文章力アップ!
最後にもう一度、「習得」と「修得」の違いをおさらいしましょう。
- 習得:経験・練習を通じて自然に身につける(例:語学、スポーツ、技能)
- 修得:教育や訓練を通じて体系的に学び修める(例:資格、学問、職業技術)
使い方を間違えると、文章がちょっとぎこちなくなったり、意味が伝わりにくくなることもあります。
特にビジネスメールや公式な文章では、きちんと使い分けたいですね。
正しい言葉の選び方ができると、それだけで「この人、しっかりしているな」という印象を与えることができます。
ちょっとした違いですが、意識することで大きな差が出ますよ!