ビジネスや接客の現場でよく使われる「承知しました」。
一見、丁寧で失礼のない言葉に思えますが、「なんかイラッとする」「冷たく感じる」「突き放された気がする」といった声が意外と多いのをご存じでしょうか?
「丁寧なはずの言葉がなぜ嫌われるのか?」
この記事では、「承知しました」が不快に思われる理由を掘り下げながら、使い方のコツや代わりに使える表現、さらには現代のビジネス敬語のあり方まで解説していきます。
目次
「承知しました」はどんな言葉?
まずは言葉の意味をしっかり押さえておきましょう。
「承知しました」の基本的な意味
- 「理解しました」「了解しました」「分かりました」の丁寧な表現
- 相手の依頼や指示、要望を受け入れて理解したという意思表示
- ビジネスメールや電話応対で使われる敬語のひとつ
文法的にもマナー的にも、決して間違っていないどころか、正しい敬語です。
それでも「イラッとする」と感じる理由とは?
「イラッとする」と感じる理由1. 事務的すぎて冷たく聞こえる
「承知しました」は形式的で機械的な印象を与えることがあります。
特にメールやチャットなど非対面のやり取りだと、声のトーンや表情が伝わらないため、「冷たく突き放された感じ」が強まるのです。
例
A「お手数ですが、こちらの資料を午後までにお願いします」
B「承知しました。」
文章だけを見ると、無感情でそっけなく感じる人も多いはずです。
「イラッとする」と感じる理由2. 柔らかさ・共感が感じられない
「承知しました」はあくまで「了解・受け取りました」という事実を伝える表現。
そこに相手への配慮や気遣い、共感が含まれていないため、「冷たい」「感じが悪い」と思われることがあります。
特に感謝や謝罪が必要な場面で、これだけで済ませると「無礼だ」「突き放された」と受け取られる可能性が高くなります。
「イラッとする」と感じる理由3. 場面に合っていない使い方がある
実は「承知しました」は万能ではありません。
カジュアルなやりとりや、目上の人に対しての使用には注意が必要です。
例えば、上司や取引先に対して
- 「〇〇しておいてください」
- 「この件、確認してください」
といった依頼に対して、「承知しました」とだけ返すと、「なんだか偉そう」「配慮が足りない」と受け取られるケースもあるのです。
受け取る側の心理:なぜイラッとするのか?
言葉だけで“感情の温度”を察知する
人は、言葉の中にある温度感や感情のニュアンスを敏感に察知します。
「承知しました」は温度が低く感じられるため、「なんか冷たい」「雑な印象」といった印象につながりやすいのです。
相手との関係性によって感じ方が変わる
親しい人とのやりとりでは、「承知しました」は距離感を感じさせる表現に。
逆に、まだ関係が浅いビジネスパートナーには、硬すぎて不自然に聞こえることもあります。
つまり、「承知しました」がイラッとするかどうかは、誰が誰に、どんな場面で言っているかによって大きく変わるのです。
「承知しました」を使う際の注意点と工夫
では、「承知しました」が不快に思われるリスクを避けるには、どんな工夫ができるでしょうか?
1. 一言添えるだけで印象が変わる
文末にひとこと感情を込めるだけで、印象がグッと柔らかくなります。
- 「承知しました。ありがとうございます」
- 「承知いたしました。よろしくお願いいたします」
- 「承知しました。引き続きよろしくお願いします」
このように、共感・感謝・丁寧さを加えると、受け取る側の印象も良くなります。
2. 相手や状況によって別の表現を使う
代わりに使える表現としては、以下のようなバリエーションがあります。
表現 | ニュアンス |
---|---|
かしこまりました | より丁寧でやわらかい表現 |
承りました | 接客業などでよく使われる丁寧語 |
了解いたしました | 少しカジュアルながら丁寧 |
確認いたしました | 事務的な処理が必要な場面で有効 |
お引き受けいたします | 依頼を前向きに引き受ける姿勢 |
「承知しました」だけに頼らず、バリエーションを持たせることが円滑なコミュニケーションのコツです。
「言葉は正しくても、気持ちが伝わらない時代」にこそ気をつけたい
現代はメールやチャット、SNSなど、文字だけでやりとりする機会が圧倒的に多い時代です。
そのため、相手の表情や声のトーンが伝わらず、「冷たい印象」「配慮がない」と誤解されるリスクも高くなっています。
「承知しました」は正しい言葉ですが、正しさだけでは足りない時代になったとも言えるのです。
まとめ:敬語にも“気遣い”が必要。言葉選びは人間関係を映す鏡
「承知しました」がイラッとする――それは、言葉そのものよりも、言い方・タイミング・相手との関係性に問題があることが多いです。
- 「承知しました」は正しいけれど、冷たく聞こえることもある
- 一言感情を添えるだけで印象は変わる
- 相手やシチュエーションによっては、他の表現に置き換えよう
- 敬語は「正しさ」だけでなく、「気持ち」を伝える手段でもある
仕事や日常のコミュニケーションを円滑に進めるためには、言葉の裏にある気配りや温度感がとても重要です。
「承知しました」と言う前に、ぜひ一度、「この言葉は、相手にどう届くだろう?」と想像してみてください。
それだけで、コミュニケーションの質は大きく変わります。
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「了解しました」はビジネスシーンで使う敬語として適切か?|Indeed キャリアガイド
「了解しました」と「承知しました」の使い分けや、ビジネスシーンでの適切な敬語表現について解説しています。
https://jp.indeed.com/career-advice/career-development/is-i-understand-polite-expression
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「承知いたしました」の意味や使い方、注意点について具体的な例文とともに詳しく説明しています。
https://go.chatwork.com/ja/column/business_chat/business-chat-336.html
「了解しました」は失礼ではない!国語辞典の編纂者が教える言葉の使い方|ダイヤモンド・オンライン
「了解しました」と「承知しました」の歴史的背景や適切な使い方について、国語辞典の編纂者が解説しています。