日本語には、同じように聞こえるけれど、微妙に意味や使い方が異なる言葉がたくさんあります。
その代表例が「迎える」と「向かえる」です。
どちらも「むかえる」と読むため、会話ではあまり違いが意識されないことも多いですが、書き言葉やビジネスの場面では、正しく使い分けることで文章の説得力がぐっと高まります。

目次
「迎える」の意味と使い方
「迎える」基本の意味
「迎える」は、以下のような意味を持つ言葉です。
- 訪れる人を出迎えること
例:空港で友人を迎える - ある時期・場面・状態になること
例:誕生日を迎える、春を迎える - 新しい仲間や状況を受け入れること
例:新入社員を迎える、新たな挑戦を迎える - 招き寄せる、引き寄せること
例:良い結果を迎える
「迎える」ポイント
「迎える」は、主体(自分)が相手や出来事を受け入れる・出迎えるイメージです。
対象となる人や事象に対して、積極的に受け止めるニュアンスを含みます。
「向かえる」の意味と使い方
「向かえる」基本の意味
「向かえる」は、次のような意味を持ちます。
- 目的地や相手のいる場所へ進んでいくこと
例:駅に向かえる、現場に向かえる - 気持ちや意識をある方向に向けること
例:目標に向かって努力する(※この場合「向かえる」とは書かず「向かう」) - 何かに対して姿勢を整えて向かうこと
例:試験に向けて準備を進める(※これも「向かう」)
※注意:「向かえる」は、「向かう」に助動詞「える」が付いた形として使われますが、実際には「向かう」の方が一般的に単独で使われる傾向が強いです。
「向かえる」ポイント
「向かえる」は、主体(自分)が相手や目的地に進んでいく行動を表します。
自らの移動・接近を意識するニュアンスが強く、「迎える」のような受け入れ・受動的な感覚は含まれません。
「迎える」と「向かえる」のニュアンスの違いまとめ
比較項目 | 迎える | 向かえる |
---|---|---|
基本動作 | 相手・物事を受け止める | 相手・目的地に向かっていく |
主体の動き | 相手を待つ・受け入れる | 自分が動く・進む |
主な対象 | 人、季節、出来事 | 目的地、人 |
例 | お客様を迎える、新年を迎える | 駅に向かえる、上司の元に向かえる |
具体的な使い方と例文集
ここからは、より具体的な使用シーンごとに「迎える」と「向かえる」の例文を紹介します。
迎えるを使う例
- 明日、ついに誕生日を迎えます。
- 社長自ら来賓を迎えました。
- 入学式の日、新たな気持ちで春を迎える。
- 交渉成立という結果を迎えることができた。
➡ 「受け入れる」「新しい局面に入る」ことを表現しています。
向かえるを使う例
- 台風の接近を受け、現場に急いで向かえます。
- 午後から取引先に向かえますので、同行願います。
- 空港に着き次第、ホテルに向かえる予定です。
- 急な呼び出しで、支社へ向かえる準備をしている。
➡ 「移動する」「目的地へ進む」という動作が主になっています。
「迎える」と「向かえる」ビジネスシーンでの使い分け例
ビジネスメールや会話の中でも、この二つの使い分けは重要です。
間違った使い方をすると、意図が正確に伝わらなかったり、少し不自然に感じられたりすることがあります。
「迎える」と「向かえる」正しい例
「午後2時にお客様を空港で迎えます。その後、会社にご案内します。」
「これから得意先に向かえますので、到着予定は15時頃です。」
「迎える」と「向かえる」不自然な例
「午後2時に空港に迎えます。」(※主体の移動を表したいなら「向かえます」が自然)
「得意先に迎えます。」(※相手を出迎えるのではなく、こちらが動くので「向かえます」が正しい)
「迎える」と「向かえる」日常生活での使い分け例
家庭や友人との会話でも、自然な日本語を話すためには使い分けが役立ちます。
迎える
- 子どもを学校の門で迎える。
- 家に友人を迎え入れる。
- 結婚10周年を迎える。
向かえる
- これから友達の家に向かえる。
- バス停に向かえるよう、早めに出発する。
「迎える」と「向かえる」よくある間違いと注意点
誤用例 | 正しい表現 | 理由 |
---|---|---|
空港に迎えに行きます | 空港に向かえに行きます | 「行く」動作なので「向かう」 |
新しいプロジェクトに向かえる | 新しいプロジェクトを迎える | 新しい出来事を受け入れるので「迎える」 |
社長に向かえる | 社長を迎える | 社長を出迎えるので「迎える」 |
まとめ:「迎える」と「向かえる」を正しく使い分けよう
ここまで「迎える」と「向かえる」の違いを詳しく解説してきました。
ポイントまとめ
- 迎えるは、相手や出来事を受け入れる・出迎えるイメージ。
- 向かえるは、目的地や相手に自ら進んでいく動作。
- ビジネスでも日常でも、主体の動きを意識して正しく使い分けると自然な日本語になる。
- 迷ったら「受け入れる」なら迎える、「進んでいく」なら向かえる、と考えればOK!
もっと詳しく知りたい方は此方のリンクを参照ください。
- 「迎える」と「向かえる」の意味と違い - 社会人の教科書
「迎える」は人や時期を自分が受け入れる行為であり、「向かえる」は自らが向かっていく行為を指します。具体的な例文を交えて解説されています。
https://business-textbooks.com/mukaeru/ (迎えると向かえるの違いとは?意味や使い分けを解説)
- 「迎える」と「向かえる」の違いと正しい使い方を徹底ガイド!子供への説明も | 暮らしのメモ帳
「迎える」は相手が自分の元に来ることを意味し、「向かえる」は自分が相手の方へ行くことを強調します。子供にもわかりやすいように、具体的な例を交えて解説されています。
https://kurashi-memocho.com/529.html (「迎える」と「向かえる」の違いと正しい使い方を徹底ガイド ...)
- 「迎える」と「向かえる」の違いをマスター!ビジネスでも使える正しい使い分け術
「迎える」は人やイベントを歓迎する際に使い、「向かえる」は具体的な行動を伴う状況で使用されます。ビジネスシーンでの使用例も紹介されています。
https://kenji-ads.info/knowledge/word/word106/ (「迎える」と「向かえる」の違いをマスター!ビジネスでも使える ...)