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「行きづらい」と「行きずらい」正しい使い分けとは?意味・違い・間違いやすい理由を徹底解説

日本語には、発音が似ていてつい迷ってしまう言葉が数多く存在します。

 

なかでも多くの人がSNSや日常会話で使っているのが「行きづらい」または「行きずらい」という表現。

 

一見するとどちらも正しそうに見えるこの2つの言葉、実は意味や使い方に明確な違いがあります。また、どちらが正しいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?

 

この記事では、「行きづらい」と「行きずらい」の違い、正しい使い方、文法的な背景、そして混同されやすい理由について丁寧に解説していきます。

 

「行きづらい」と「行きずらい」の違いとは?

結論から言うと、正しい表記は「行きづらい」です。

 

「行きずらい」は誤用とされています。ただし、会話などでは広く使われているため、完全に間違いとは言い切れない曖昧な立ち位置にあるともいえます。

 

まずはそれぞれの意味と使い方を見ていきましょう。

 

「行きづらい」の意味と使い方

「行きづらい」は、「行くのが困難である」「行きにくい」「行くことに心理的・物理的にハードルがある」といった意味で使われます。

 

「行きづらい」例文

  • 人見知りなので、初めての飲み会は行きづらい
  • 上司に怒られてから、職場に行きづらくなった。
  • 駅から遠くて行きづらい場所にある。

 

このように、「づらい」は動詞の連用形+づらいで、「~するのが困難だ」「~しにくい」という意味を表します。

 

「づらい」の用法

  • 読み:づらい(濁点あり)
  • 意味:困難さ、しにくさ、精神的な抵抗を含むニュアンス
  • 活用例:言いづらい、食べづらい、使いづらい、頼みづらい

 

「行きづらい」は、まさにこのパターンに当てはまる自然な用法です。

 

「行きずらい」は誤り?

「行きずらい」は、正確には誤用とされています。にもかかわらず、日常会話やSNS、メールなどでは非常によく使われています。

 

これは、「づ」と「ず」の発音がほぼ同じ(※東京方言ではほぼ無区別)であることが原因のひとつです。

 

「ずらい」は存在する?

「ずらい」という語は、日本語の文法上、存在しません

 

そのため、「行きずらい」「使いずらい」「言いずらい」などは、すべて本来は誤用です。

 

なぜ「行きずらい」と書いてしまうのか?

誤って「行きずらい」と書いてしまう理由には、以下のような背景があります。

 

「行きずらい」と書いてしまう理由1. 発音の混同

「づ」と「ず」は、日本語の発音ではほとんど区別がつかないことが多いです。

 

特に関東地方では、「づ」も「ず」も「zu」と発音されるため、聞き分けが非常に難しいのです。

 

  • 「かぜ(風)」と「かぜ(風邪)」は意味が違いますが、発音は同じ
  • 「続ける(つづける)」の「づ」も「ず」と同じように聞こえる

 

「行きずらい」と書いてしまう理由2. スマホ・パソコンの変換ミス

多くの人がスマホで文字を入力する際、「いきずらい」と入力してそのまま変換し、誤ったまま送信してしまうケースもあります。

 

最近では、予測変換に「行きずらい」が出てしまうアプリもあるため、余計に混乱を招いています。

 

「行きずらい」と書いてしまう理由3. 周囲も使っている

SNSやチャット、LINEなどのカジュアルなコミュニケーションでは、「行きずらい」が使われているのをよく見かけます。

 

そのため、間違いに気づかないまま定着してしまう人も多いのです。

 

正しい使い方・表記を覚えよう

繰り返しになりますが、正しい表記は「行きづらい」です。

 

「ずらい」は日本語に存在しない語なので注意しましょう。

 

よく使われる「〜づらい」表現一覧

表現 意味
言いづらい 言うのがためらわれる、困難
頼みづらい 頼みにくい、お願いしにくい
使いづらい 扱いにくい、不便
会いづらい 会いにくい、顔を合わせづらい
飲みづらい 飲みにくい、口にしにくい

実際の会話では「行きずらい」でも通じる?

ここで気になるのが、「じゃあ、会話で“行きずらい”って言ったらダメなの?」という疑問。

 

「行きずらい」会話では許容されることも多い

実際には、「行きずらい」と発音しても相手に意味が伝わるため、日常会話の中では誤解が生じることはほとんどありません

 

ですが、ビジネス文書、メール、SNSの投稿、学術論文など、正式な文章では「行きづらい」が正しいとされています。

 

「行きずらい」SNS・ネット上での誤用の広がり

TwitterやInstagram、LINEなどのSNSでは、「行きずらい」が使われることも少なくありません。

 

これは一種の「俗語」や「口語表現」として浸透してきているとも言えますが、誤用が多数派になっても正しいとは限りません

 

言葉は時代とともに変化するものではありますが、現在の日本語教育や辞書では、「行きづらい」が正しいとされています。

 

まとめ:迷ったら「づらい」で覚えよう!

「行きづらい」と「行きずらい」の違いについて、最後にもう一度整理しましょう。

 

  • 正しい表記は 「行きづらい」
  • 「行きずらい」は誤用(ただし会話で使われることも多い)
  • 「づらい」は「しにくい・困難である」という意味の接尾語
  • 発音上の混乱、変換ミスが誤用の原因
  • 公式な文書では「づらい」を使用しよう!

正しい言葉の使い方を知っていると、ビジネスでも信頼感が生まれます。

 

逆にちょっとした誤用で「この人、日本語大丈夫かな?」と思われてしまうことも。

 

「行きづらい」はよく使う表現だからこそ、今のうちにしっかり覚えておくのがおすすめです!

 

  • この記事を書いた人

ゆいと

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