未来の出来事や目に見えない事実について語るとき、私たちは「予測」「予想」「推測」「想定」といった言葉を使います。
どれも似ているように見えて、それぞれ微妙にニュアンスや使い方が異なるため、混同されやすい言葉です。
たとえば、
- 「明日の天気を予測する」
- 「明日の試合結果を予想する」
- 「彼の考えを推測する」
- 「災害発生時を想定して備える」
どれも「こうなるかもしれない」と未来を見据える言葉ですが、使い分けにはルールや違いがあります。

目次
「予測(よそく)」とは?
「予測(よそく)」意味
「予測」とは、データや事実、過去の傾向に基づいて、未来の結果をある程度正確に見積もることを指します。
- 漢字:予=あらかじめ、測=はかる
- 科学的・合理的・統計的な背景がある
「予測(よそく)」使用場面
- 天気、経済、市場動向、売上、人口変動など
- ビジネス・研究・報道など、客観性を重視する分野
「予測(よそく)」例文
- 来年度の売上高は〇〇億円と予測されています。
- 地震の発生確率を予測するのは困難です。
- AIによる交通渋滞の予測が可能になった。
「予測(よそく)」ニュアンスの特徴
- 論理性・客観性・根拠重視
- 「予想」よりも科学的・分析的
「予想(よそう)」とは?
「予想(よそう)」意味
「予想」とは、これから起きることについて自分なりに見当をつけることです。
必ずしも明確な根拠があるわけではありません。
- 漢字:予=あらかじめ、想=おもう
「予想(よそう)」使用場面
- スポーツの勝敗、宝くじの当選、天気の変化、受験結果など
- 日常会話や感覚的な会話でよく使われる
「予想(よそう)」例文
- 明日の試合は彼の勝ちと予想している。
- 大雪になるとは予想していなかった。
- 売れ行きは悪くなると予想していたが、結果は逆だった。
「予想(よそう)」ニュアンスの特徴
- 主観的・個人的・感覚的
- 会話やカジュアルな文脈でよく使う
「推測(すいそく)」とは?
「推測(すいそく)」意味
「推測」とは、見えないことや知らない情報について、既にわかっている情報を手がかりに考えを巡らすことです。
未来だけでなく、現在や過去の不明なことにも使えます。
- 漢字:推=おす/おしはかる、測=はかる
「推測(すいそく)」使用場面
- 他人の気持ち、会話の意図、事件の状況など
- 日常的な思考や考察、ミステリーなどでもよく使う
「推測(すいそく)」例文
- 彼の表情から怒っていると推測できる。
- 現場の状況から事故の原因を推測する。
- このメールは彼が送ったと推測される。
「推測(すいそく)」ニュアンスの特徴
- 現在・過去の事実に対して使われることが多い
- 明確な証拠はないが、状況から「おそらくこうだ」と考える
「想定(そうてい)」とは?
「想定(そうてい)」意味
「想定」とは、特定の事態や条件が起こると仮定し、それに基づいて考えや計画を立てることです。
- 漢字:想=思い描く、定=決める
「想定(そうてい)」使用場面
- 災害対策、事業計画、危機管理、予備プランの作成など
- ビジネス・防災・戦略設計の場面で多用される
「想定(そうてい)」例文
- 地震発生時を想定した避難訓練を実施します。
- 最悪のケースも想定しておくべきです。
- トラブル発生時の想定シナリオを策定する。
「想定(そうてい)」ニュアンスの特徴
- あくまで「仮定」や「シミュレーション」に重きを置く
- 現実になるとは限らないが、備えておくために必要
「予測」「予想」「推測」「想定」それぞれの違いを比較
項目 | 予測 | 予想 | 推測 | 想定 |
---|---|---|---|---|
主な意味 | データに基づき未来を予測 | 主観的に未来を予想 | 情報から見えない事実を考察 | 仮定の事態に備える |
ターゲット | 未来 | 未来 | 現在・過去・未来 | 仮定の未来 |
ニュアンス | 論理的・科学的 | 個人的・感覚的 | 状況判断・分析的 | 防災・戦略的 |
使用分野 | 経済・技術・研究 | 会話・娯楽・報道 | 調査・考察・分析 | 危機管理・事業計画 |
英語対応 | Forecast / Predict | Expect / Anticipate | Infer / Guess | Assume / Suppose |
「予測」「予想」「推測」「想定」実際の会話や文書での使い分け例
例1:天気について
- 予測:「気象庁のデータによると、明日は雨と予測されています。」
- 予想:「なんとなく明日は雨になりそうな気がする。」
例2:他人の気持ち
- 推測:「彼の態度から察するに、怒っていると推測できる。」
- 予測:「彼の気持ちを予測する」はやや不自然
例3:災害対策
- 想定:「首都直下型地震を想定した避難訓練を行う。」
- 予想:「地震を予想する」は不適切(ランダム性が強いため)
「予測」「予想」「推測」「想定」よくある誤用と注意点
- 「予測」と「予想」はよく混同されますが、「予測」は客観的根拠を重視。
- 「推測」は未来だけではなく、過去の原因解明や心理読み取りにも使える。
- 「想定」は「実際に起こる可能性があるかどうか」は問わないが、備えのために仮定することが重要。
おわりに
「予測」「予想」「推測」「想定」はどれも“未来や不確かなこと”に向き合う言葉ですが、それぞれが持つ意味やニュアンスは大きく異なります。
- 予測=データ重視・客観的な見通し
- 予想=主観的・感覚的な見込み
- 推測=見えない事実への論理的な当て推量
- 想定=仮定して備えるための準備・計画
場面に応じて言葉を正しく選ぶことで、説得力ある伝え方ができるようになります。
ぜひ、この記事の内容を会話や文章作成に活かしてみてください!