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「愛でる」の正しい読み方と意味を徹底解説!品のある日本語を身につけよう

「この景色、本当に愛でたい気持ちになるね」

 

そんなふうに使われる「愛でる」という言葉。最近では日常会話や文章で目にする機会が増えてきたものの、「なんて読むの?」と戸惑う人も少なくありません。

 

漢字からなんとなく意味は想像できても、正しい読み方やニュアンスまで知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?

 

この記事では、「愛でる」という言葉の正しい読み方(めでる)から始まり、意味・使い方・例文・歴史的背景まで丁寧に解説します。これを読めば、美しい日本語の一つである「愛でる」を自信をもって使えるようになります。

 

「愛でる」の正しい読み方は?

まず結論からお伝えします。

 

「愛でる」は「めでる」と読みます。

  • 誤:あいでる、あいめでる(✕)
  • 正:めでる(◎)

 

「愛」は“あい”とは読まず、「めでる」で一語となります。

 

漢字に引っ張られて「あいでる」と読んでしまいがちですが、これは完全な誤りです。

 

「愛でる(めでる)」の意味とは?

「愛でる」は、単なる「見る」「楽しむ」を超えた、感動・感謝・敬意をもって味わい深く見る・感じるという意味を持っています。

 

「愛でる(めでる)」主な意味

  1. 美しいもの、好ましいものを心をこめて賞賛・鑑賞する
  2. 愛情や感動をもって、対象に深く感じ入りながら接する

 

現代語で言い換えると、「大切に思いながら鑑賞する」「慈しみながら味わう」といったニュアンスです。

 

「愛でる」が使われる場面・対象

「愛でる」という言葉が使われるのは、以下のような“美しさ”や“情緒”を感じる対象に対してです。

 

対象 使用例
自然 桜を愛でる、月を愛でる、紅葉を愛でる
芸術 書を愛でる、絵画を愛でる、工芸品を愛でる
動物・子供 子猫を愛でる、赤子を愛でる
人の行為 おもてなしの心を愛でる

 

ポイント

  • 「見る」よりも感情が深く、「鑑賞する」「感じ取る」に近い
  • 対象への愛情・尊敬・感動が込められている
  • 和歌や俳句など、古典的な表現とも非常に相性が良い

 

「愛でる」の例文でニュアンスをつかもう

「愛でる」自然や風景に対して

春の夜、満開の桜を静かに愛でるのが何よりの贅沢だ。

 

→ 単に桜を「見る」のではなく、その美しさや儚さに心を寄せている様子。

 

「愛でる」芸術作品に対して

茶碗の細かな貫入(ひび模様)を愛でる茶人のまなざしは、まるで祈りのようだった。

 

→ 外見ではなく、内なる価値や歴史にまで目を向けているニュアンス。

 

「愛でる」動物や人に対して

膝の上で丸くなった子猫を、彼女はそっと撫でながら愛でていた。

 

→ 愛情や思いやりがこもった行為として描写。

 

「愛でる」の語源と歴史的背景

「愛でる」は、もともと古語の「めづ(愛づ)」が語源です。

 

古語「めづ」の意味

  • 賞賛する、感動する、愛する、心惹かれる

 

『枕草子』や『源氏物語』などでも頻繁に登場し、平安時代から続く由緒正しい言葉です。

 

たとえば『枕草子』には、

 

「花の色、香をも愛でつつ…」というような使い方が見られます。

 

つまり「愛でる」は、日本人の美意識や情緒の文化を体現する表現とも言えるのです。

 

「愛でる」の現代的な使われ方

現代では、「愛でる」は以下のように使われることが多くなっています。

 

  • Twitterなどで「○○を愛でる会」として趣味活動の表現に使用
  • 写真や動画のコメント欄で「このシーン、ほんとに愛でたい」と感動表現
  • お茶席や和文化に触れるシーンでの正式表現

 

SNSでのカジュアルな使い方

今日の猫ちゃん…尊すぎてずっと愛でてたい…

 

→ 若者言葉にも取り入れられ、感情豊かな言葉として親しまれつつあります。

 

「愛でる」と似た言葉・言い換え表現

「愛でる」に似た言葉はいくつかありますが、ニュアンスに微妙な違いがあります。

 

表現 意味・違い
鑑賞する 客観的・芸術的に見ることに重きがある
見惚れる 美しさに魅了されるが、主体的な行為
慈しむ 愛情や優しさを持って接する。人に対してよく使われる
愛する 広い意味での愛情。やや重い印象もある
感動する 心を動かされるが、一瞬的で広範囲に使える

 

「愛でる」は、深く、静かに、敬意と愛情を持って見つめるという、日本語ならではの美しさを持つ表現です。

 

ビジネスや教養としての「愛でる」

ビジネスシーンや文書で使う場合は、ややフォーマルな印象になりますが、上品で知的な表現として評価されやすいです。

 

使用例

  • お客様への贈答品として、四季の移ろいを愛でられる掛け軸をお選びしました。
  • この日本庭園は、どの角度からも愛でる楽しみがあります。

 

間違えやすいポイントに注意!

  • 読み間違い:「あいでる」と読まないよう注意
  • 動詞活用:「愛でる」は一段活用 → 「愛でます」「愛でた」「愛でよう」

 

まとめ:美しい言葉「愛でる」を正しく使おう

ポイントおさらい

  • 「愛でる」は「めでる」と読むのが正解
  • 美しいものや尊いものを、愛情と感動を込めて味わう行為を指す
  • 古くから日本文化で用いられてきた、品格のある言葉
  • 現代でもアートや趣味、SNSでも幅広く活用できる

 

おわりに

「愛でる」という言葉を使えるようになると、あなたの語彙には情緒と品格が加わります。

 

日本人が大切にしてきた「感じる心」を、ひとつの言葉で美しく表現できる素晴らしい語です。

 

今度、美しい風景や素敵な作品、人の優しさに触れたときは、ぜひ「愛でる」という言葉を思い出してみてください。

 

  • この記事を書いた人

ゆいと

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