寒さが厳しい季節になると、メールや手紙、会話の中でよく使われるのが、「暖かくしてお過ごしください」という表現です。
SNSやLINE、年賀状、ビジネスメールなど、幅広い場面で見かけますよね。
この言葉には、直接的な指示というよりも、相手の体調や気持ちを思いやる優しさが込められており、日本語ならではの“間接的な気遣い表現”として高く評価されています。
しかし一方で、
「なんとなく使ってるけど、正しいの?」
「フォーマルな場面でも使っていいの?」
「“暖かく”って物理的な意味?感情的な意味?」
と疑問に思ったことはありませんか?

目次
「暖かくしてお過ごしください」の基本構造と意味
「暖かくしてお過ごしください」文の構造
「暖かくしてお過ごしください」は、大きく2つの要素に分けられます。
- 暖かくして(=暖かい服装をする・部屋を暖かくするなどの意味)
- お過ごしください(=「過ごす」の尊敬表現)
つまり、「寒い中でも体調に気をつけて、快適にお過ごしください」という思いやりの気持ちを込めた丁寧な依頼・願望の表現です。
「暖かくして」の意味
ここでの「暖かくして」は、主に物理的な“暖かさ”を保つ行動を意味します。
- 厚手の服を着る
- 暖房をつける
- 毛布やカイロなどを使う
- 温かい飲み物を飲む
など、体を冷やさないための工夫をすることです。
しかし、文脈によっては「心も温かく過ごしてほしい」という比喩的な意味合いを含む場合もあります。
特に、年末年始の挨拶やお見舞いの言葉として使う際には、感情的なぬくもりを込めて使われることもあります。
「お過ごしください」の文法と敬語構造
「過ごす」は一般動詞ですが、目上の人に対して使う際には、
- 尊敬語:「お過ごしになる」
- 丁寧命令:「お過ごしください」
と敬語に変化させます。
「お過ごしください」は、「お〜ください」という命令形ながらも丁寧な依頼表現であり、相手への敬意と気遣いを込めた語法です。
どんな場面で使えるの?
「暖かくしてお過ごしください」は、さまざまな場面で使える万能な表現です。
1. メールやLINEでの締めくくり
特に冬場の時候の挨拶や、風邪が流行っている時期などにぴったりです。
例
お身体に気をつけて、どうか暖かくしてお過ごしください。
2. お見舞いや気遣いの言葉として
風邪を引いた人、体調を崩している人への励ましにも使われます。
例
寒い日が続いておりますので、くれぐれも暖かくしてお過ごしください。
3. 年末年始の挨拶
「よいお年を」と並ぶ、やわらかい締めの言葉として人気があります。
例
来年も素敵な一年になりますように。暖かくして、良いお年をお迎えください。
4. 季節のカードや年賀状、手紙
文書で気遣いを表現する場合にも自然に馴染みます。
「暖かくしてお過ごしください」が適さない場面
「暖かくしてお過ごしください」が適さない場面1. 暑い時期(夏場など)
当然ながら、夏にこの言葉を使うと違和感が出ます。季節に合わせた言い換えが必要です。
- 夏場の例:「涼しくしてお過ごしください」「水分補給を忘れずに」など
「暖かくしてお過ごしください」が適さない場面2. ビジネスのフォーマルな締め
相手によっては砕けすぎた印象になることも。ビジネスシーンでは「ご自愛ください」や「ご健勝をお祈り申し上げます」が無難です。
類似表現との比較
表現 | ニュアンス | 使用シーン |
---|---|---|
ご自愛ください | 相手の健康を願う表現(やや格式高い) | ビジネス、フォーマルな手紙 |
お身体にお気をつけて | 直接的に健康への配慮を示す | 年配の方や丁寧な場面で |
お体を冷やさないように | 寒さに対する具体的な忠告 | 家族・親しい友人向け |
暖かくして休んでください | 病気の人・体調不良の人へ | お見舞い・励ましの言葉として |
より丁寧に言いたいときのバリエーション
文章や相手に合わせて、少し表現をアレンジすることで、よりやさしく、深い気遣いを伝えることができます。
- 寒さ厳しき折、どうぞ暖かくしてお過ごしください。
- どうか無理なさらず、暖かくしてゆっくりお過ごしくださいませ。
- 冷え込みが続いております。お体を大切に、暖かくしてお過ごしください。
季節に応じた言い換え表現
季節 | 言い換え例 |
---|---|
春 | 花冷えの時期ですので、暖かくしてお過ごしください。 |
夏 | 熱中症にお気をつけて、涼しくしてお過ごしください。 |
秋 | 朝晩冷え込みますので、どうぞ暖かくしてお過ごしください。 |
冬 | 厳しい寒さが続きます。お体を冷やさぬようお過ごしください。 |
実際の使用例まとめ(メール・LINE)
ビジネスメールでの締め
寒さが厳しい日々が続いております。どうか暖かくしてお過ごしくださいませ。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
友人へのLINE
最近めちゃくちゃ寒いね〜
暖かくして風邪ひかないようにね!
年賀状での活用
昨年は大変お世話になりました。
寒い日が続きますが、暖かくして良いお年をお迎えください。
まとめ:「暖かくしてお過ごしください」は、気遣いと季節感を伝えるやさしい日本語
項目 | 内容 |
---|---|
正しい意味 | 体を冷やさないようにして快適に過ごすよう願う表現 |
敬語構造 | 「お過ごしください」は丁寧な尊敬語(丁寧命令) |
使用場面 | 冬場、体調不良時、メール、手紙、年賀状など |
類似語との違い | 「ご自愛ください」はよりフォーマル |
注意点 | 夏には不適。ビジネスでは場面に応じて表現を調整 |
おわりに
「暖かくしてお過ごしください」という言葉は、たった一文で相手の体調や心を思いやることができる、とても日本語らしい美しい表現です。
単なる気温への配慮だけでなく、相手の生活を想像し、健やかでいてほしいという気持ちを伝えることができます。
文末にこの一言を添えるだけで、あなたの言葉にあたたかみが生まれます。ぜひ、これからの寒い季節にこそ、積極的に使ってみてくださいね。
更に詳しく知りたい方は此方のリンクを参照してください。
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https://metalife.co.jp/business-words/2392/ (【例文付き】「お体に気を付けてお過ごしください」の意味や ...) - 【例文付き】12月の時候の挨拶を全般・上旬・中旬・下旬ごとに紹介
12月の時候の挨拶として、「寒い時期ですがお元気ですか」「寒くなりますので、暖かくしてお過ごしください」といった主旨の挨拶がよく使用されます。季節に応じた挨拶文の例が紹介されています。
https://mynavi-agent.jp/dainishinsotsu/canvas/2023/09/post-1053.html (【例文付き】12月の時候の挨拶を全般・上旬・中旬・下旬ごとに紹介)