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「迎える」と「向かえる」の違いとは?意味・使い方・ニュアンスを徹底解説

日本語には、同じように聞こえるけれど、微妙に意味や使い方が異なる言葉がたくさんあります。

 

その代表例が「迎える」と「向かえる」です。

 

どちらも「むかえる」と読むため、会話ではあまり違いが意識されないことも多いですが、書き言葉やビジネスの場面では、正しく使い分けることで文章の説得力がぐっと高まります。

 

この記事では、「迎える」と「向かえる」の意味、違い、使い方、例文、ビジネスや日常シーンでの応用例まで、丁寧に解説していきます。

 

「迎える」の意味と使い方

「迎える」基本の意味

「迎える」は、以下のような意味を持つ言葉です。

 

  1. 訪れる人を出迎えること
    例:空港で友人を迎える
  2. ある時期・場面・状態になること
    例:誕生日を迎える、春を迎える
  3. 新しい仲間や状況を受け入れること
    例:新入社員を迎える、新たな挑戦を迎える
  4. 招き寄せる、引き寄せること
    例:良い結果を迎える

 

「迎える」ポイント

「迎える」は、主体(自分)が相手や出来事を受け入れる・出迎えるイメージです。

 

対象となる人や事象に対して、積極的に受け止めるニュアンスを含みます。

 

「向かえる」の意味と使い方

「向かえる」基本の意味

「向かえる」は、次のような意味を持ちます。

 

  1. 目的地や相手のいる場所へ進んでいくこと
    例:駅に向かえる、現場に向かえる
  2. 気持ちや意識をある方向に向けること
    例:目標に向かって努力する(※この場合「向かえる」とは書かず「向かう」)
  3. 何かに対して姿勢を整えて向かうこと
    例:試験に向けて準備を進める(※これも「向かう」)

※注意:「向かえる」は、「向かう」に助動詞「える」が付いた形として使われますが、実際には「向かう」の方が一般的に単独で使われる傾向が強いです。

 

「向かえる」ポイント

「向かえる」は、主体(自分)が相手や目的地に進んでいく行動を表します。

 

自らの移動・接近を意識するニュアンスが強く、「迎える」のような受け入れ・受動的な感覚は含まれません。

 

「迎える」と「向かえる」のニュアンスの違いまとめ

比較項目 迎える 向かえる
基本動作 相手・物事を受け止める 相手・目的地に向かっていく
主体の動き 相手を待つ・受け入れる 自分が動く・進む
主な対象 人、季節、出来事 目的地、人
お客様を迎える、新年を迎える 駅に向かえる、上司の元に向かえる

 

具体的な使い方と例文集

ここからは、より具体的な使用シーンごとに「迎える」と「向かえる」の例文を紹介します。

 

迎えるを使う例

  • 明日、ついに誕生日を迎えます
  • 社長自ら来賓を迎えました
  • 入学式の日、新たな気持ちで春を迎える
  • 交渉成立という結果を迎えることができた。

 

➡ 「受け入れる」「新しい局面に入る」ことを表現しています。

 

向かえるを使う例

  • 台風の接近を受け、現場に急いで向かえます
  • 午後から取引先に向かえますので、同行願います。
  • 空港に着き次第、ホテルに向かえる予定です。
  • 急な呼び出しで、支社へ向かえる準備をしている。

 

➡ 「移動する」「目的地へ進む」という動作が主になっています。

 

「迎える」と「向かえる」ビジネスシーンでの使い分け例

ビジネスメールや会話の中でも、この二つの使い分けは重要です。

間違った使い方をすると、意図が正確に伝わらなかったり、少し不自然に感じられたりすることがあります。

 

「迎える」と「向かえる」正しい例

「午後2時にお客様を空港で迎えます。その後、会社にご案内します。」

 

「これから得意先に向かえますので、到着予定は15時頃です。」

 

「迎える」と「向かえる」不自然な例

「午後2時に空港に迎えます。」(※主体の移動を表したいなら「向かえます」が自然)

 

「得意先に迎えます。」(※相手を出迎えるのではなく、こちらが動くので「向かえます」が正しい)

 


「迎える」と「向かえる」日常生活での使い分け例

家庭や友人との会話でも、自然な日本語を話すためには使い分けが役立ちます。

 

 

迎える

  • 子どもを学校の門で迎える
  • 家に友人を迎え入れる
  • 結婚10周年を迎える

 

向かえる

  • これから友達の家に向かえる
  • バス停に向かえるよう、早めに出発する。

 

「迎える」と「向かえる」よくある間違いと注意点

誤用例 正しい表現 理由
空港に迎えに行きます 空港に向かえに行きます 「行く」動作なので「向かう」
新しいプロジェクトに向かえる 新しいプロジェクトを迎える 新しい出来事を受け入れるので「迎える」
社長に向かえる 社長を迎える 社長を出迎えるので「迎える」

 

まとめ:「迎える」と「向かえる」を正しく使い分けよう

ここまで「迎える」と「向かえる」の違いを詳しく解説してきました。

 

ポイントまとめ

  • 迎えるは、相手や出来事を受け入れる・出迎えるイメージ。
  • 向かえるは、目的地や相手に自ら進んでいく動作。
  • ビジネスでも日常でも、主体の動きを意識して正しく使い分けると自然な日本語になる。
  • 迷ったら「受け入れる」なら迎える、「進んでいく」なら向かえる、と考えればOK!

 

もっと詳しく知りたい方は此方のリンクを参照ください。

 

 

  • この記事を書いた人

ゆいと

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