ビジネスでも日常でも欠かせない「コミュニケーション」という言葉。
この「コミュニケーション」という言葉に合わせてよく使われる動詞に、「図る」と「取る」があります。
- 「上司とのコミュニケーションを図る」
- 「部下とのコミュニケーションを取る」
どちらも一見よく似た表現ですが、ニュアンスや使い方にははっきりとした違いがあります。
正しく使い分けることで、文章の説得力が増し、話し言葉にも自然な重みが加わります。

目次
「図る」と「取る」の基本的な意味
まずは、それぞれの言葉の意味を正確に押さえておきましょう。
図る(はかる)の意味
「図る」とは、目的達成のために工夫する、計画する、努力するという意味を持つ動詞です。
辞書的な定義では、
- 計画を立てる
- 工夫して実現しようとする
- 達成を目指して手段を講じる
といった意味合いがあります。
つまり「図る」は、目標に向かって努力するプロセスを強く意識する言葉です。
取る(とる)の意味
一方、「取る」は非常に広い意味を持つ動詞ですが、コミュニケーションに関しては、
- 連絡を取る
- 接触する
- 交流する
といった意味合いで使われます。
実際にアクションを起こして、コミュニケーションを成立させるニュアンスが「取る」にはあります。
コミュニケーションを「図る」と「取る」の違いを簡単にまとめると?
項目 | 図る | 取る |
---|---|---|
主な意味 | 実現しようと努力・工夫する | 実際に行動して交流を実施する |
ニュアンス | 計画・働きかけ・工夫 | 直接のやり取り・アクション |
主体の意図 | 成果を得るための準備やプロセス重視 | 実際のコミュニケーションそのもの重視 |
例 | 信頼関係の構築を図る | メールで連絡を取る |
「図る」を使うシチュエーションと具体例
「図る」は、まだ実際に結果が出ていない段階、または結果に向けて何らかの工夫や働きかけをしている段階で使います。
「図る」使われる場面
- コミュニケーションを円滑にするために工夫する
- 信頼関係を築くために働きかける
- すれ違いを防ぐために努力する
「図る」具体例
- 部下との信頼関係を図る
- お客様との良好な関係構築を図る
- 異文化間での理解を図る
例文
- 新しいプロジェクトチームでは、メンバー同士のコミュニケーションを図るため、定期的なミーティングを設定した。
- 上司との距離感を縮めるため、あえて雑談をする機会を図った。
「図る」ポイント
- まだコミュニケーションが成立していない段階でも使える
- 計画や工夫、意図的な努力を含んでいる
- 「目的志向型」の動詞
「取る」を使うシチュエーションと具体例
「取る」は、実際にコミュニケーションのアクションを起こす場面で使います。
「取る」使われる場面
- メールや電話など具体的な手段で連絡する
- 実際に対話する
- アプローチを実行する
「取る」具体例
- 取引先と直接コンタクトを取る
- 部下にフィードバックを取る
- 会議で意見交換を取る
例文
- トラブルが発生したため、すぐに関係各所と連絡を取った。
- 新しいクライアントとは、まず軽いランチミーティングでコミュニケーションを取った。
「取る」ポイント
- アクション重視(行為がすでに行われている)
- 成立した交流・やり取りを指す
- 「行動志向型」の動詞
実践例:ビジネスシーンでの使い分け
ビジネスの場では、この2つの違いを理解して正しく使い分けることで、話の正確性や説得力が格段にアップします。
◆ 場面①:新しい部署に配属されたとき
- 「まずはメンバーとの信頼関係構築を図ることが大切だ。」
- (具体的には)「朝礼後に必ず雑談タイムを設け、交流を取る。」
➡ 初期段階は「図る」、具体行動は「取る」。
◆ 場面②:クレーム対応
- 「お客様との円滑なコミュニケーションを図り、問題解決を目指します。」
- 「そのために、すぐにお電話で状況確認の連絡を取る予定です。」
➡ 努力・工夫=「図る」、具体アクション=「取る」。
まとめ:「図る」と「取る」を正しく使い分けよう
ここまで、「コミュニケーションを図る」と「コミュニケーションを取る」の違いについて詳しく解説してきました。
ポイント整理
図る | 取る |
---|---|
コミュニケーションをうまく進めるために努力する | 実際に連絡したり話したりして交流を持つ |
計画・工夫・働きかけを表す | 具体的な行動・実施を表す |
成果志向・準備段階 | 実行段階・交流そのもの |
迷ったら?
まだ準備中・働きかけ中なら「図る」
実際にアクションを起こしているなら「取る」
最後に
「図る」と「取る」を正しく使い分けることで、
- 意図が明確になり
- 文章の説得力が高まり
- コミュニケーション自体もスムーズに進みます。
特にビジネスの場では、言葉ひとつで相手に与える印象が大きく変わるもの。
ぜひこの違いを意識して、ワンランク上の日本語表現を目指してみてくださいね!
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