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「趣旨」と「主旨」の違いをわかりやすく解説【例文付き】

ゆいと

語源と意味の研究系ブロガー|ブログ歴5年|言葉の意味や語源、日常で使われるフレーズや雑学を発信|難しいことをわかりやすく、を意識して書いています。

「しゅし」と読む漢字、「趣旨」と「主旨」。

同じ読み方をするこの二つの言葉、なんとなく意味が似ていて、使い分けに迷う人も多いのではないでしょうか?

 

たとえば

  • 「この文章のしゅしは何か?」
  • 「プロジェクトのしゅしを説明してください」

 

この“しゅし”は「趣旨」なのか「主旨」なのか? どちらも正しそうで、自信を持って選べないこと、ありますよね。

 

この記事では、「趣旨」と「主旨」の意味の違い、使い方、混同しやすい場面まで、丁寧に解説していきます。 この記事を読めば、両者の違いがスッキリ理解できて、日常会話やビジネス文書でも正しく使い分けられるようになりますよ!

 

まずは「趣旨」と「主旨」の意味の違いを比較!

「趣旨」とは?

「趣旨(しゅし)」とは、行動や発言、文書などの目的・ねらい・考えの方向性を示す言葉です。


つまり「なぜそれをするのか」という
背景や意図を説明する場面で使います。

 

趣旨の定義(辞書的な意味)

行為・活動・意見などの中心となる考え方やねらいのこと。

 

「主旨」とは?

「主旨(しゅし)」とは、文章や発言などの中心的な内容・主張・要点のこと。


つまり「何を言いたいのか」という
主な内容を説明するときに使います。

 

主旨の定義(辞書的な意味)

発言や文章の主な内容や要点。中心となる考え。

 

「趣旨」と「主旨」意味の違いをシンプルに比較

項目 趣旨(しゅし) 主旨(しゅし)
意味 行動や発言の目的、意図、ねらい 発言・文章の主な内容、要点
ポイント 「なぜそれをするのか?」 「何を言いたいのか?」
使う場面 方針、企画書、活動の説明 論文、発言、文章の読解
イベントの趣旨、法律の趣旨 文章の主旨、スピーチの主旨

「趣旨」と「主旨」それぞれの使い方を例文で確認!

「趣旨」の例文

  1. このイベントは、地域交流を深めることを趣旨として開催されました。
  2. 法律の趣旨を理解せずに運用するのは危険です。
  3. ご提案の趣旨には賛同いたしますが、予算が問題です。

 

→「なぜ行うのか?」という“意図”や“目的”に注目しています。

 

「主旨」の例文

  1. この記事の主旨は、早期教育の重要性を説くことにあります。
  2. 発言の主旨を誤って伝えるとトラブルになります。
  3. 報告書の主旨を一言で説明してください。

 

→「何を言いたいのか?」という“中心内容”に注目しています。

 

「趣旨」と「主旨」混同しやすい実例と正しい使い分け

「趣旨」と「主旨」例1:議事録の書き方

  • 誤:「会議の主旨はプロジェクト開始の可否でした」
  •  正:「会議の趣旨はプロジェクト開始の可否を検討することでした」

 

ここでは「会議を開いた目的・理由」を伝えるので「趣旨」が正解。

 

「趣旨」と「主旨」例2:文章の読解問題

  •  誤:「筆者の趣旨を選びなさい」
  • 正:「筆者の主旨を選びなさい」

 

文章の中心となる主張を問うので「主旨」が正解。

 


「趣旨」と「主旨」なぜ混同されやすいのか?

「趣旨」と「主旨」は、以下のような理由で混同されやすいのです。

 

同音異義語である

「しゅし」という同じ音であることが一番の原因。

耳で聞くだけでは、どちらの漢字を使っているのかわかりません。

 

意味が少し似ている

どちらも「物事の中心にある考え」を扱う言葉なので、ざっくりとした印象では区別が難しいのです。

 

使われる場面が重なることもある

たとえば、ある提案について説明する際、「この提案の趣旨は〜」も「主旨は〜」も一見使えそうに見えます。

しかし、「意図」を伝えるなら「趣旨」、「要点」を伝えるなら「主旨」と、意識して使い分ける必要があります。

 

記憶しやすくするコツ!語源と連想法

「趣旨」の語源と覚え方

  • 「趣」=おもむき、目的地に向かうという意味
  • 「旨」=主な意味、指し示すもの

「どこに向かって行こうとしているか=目的」が「趣旨」

 

「主旨」の語源と覚え方

  • 「主」=メインの、中心の
  • 「旨」=意見や考えの内容

「言いたいことの中心=主張」が「主旨」

 

「趣旨」と「主旨」覚え方のイメージ

  • 「趣旨」はWhy(なぜ?):なぜこの活動をするのか?
  • 「主旨」はWhat(何を?):何を伝えたいのか?

 

ビジネスや公的文書での使い分けポイント

文章作成の現場では、「趣旨」と「主旨」の正しい使い分けが非常に重要です。

 

「趣旨」を使うべき場面

  • 企画書やイベント説明文:活動のねらいを書くとき
  • 規約や法律:制定の意図を説明するとき

 

例文

本企画は、地域の魅力を再発見することを趣旨としております。

 

「主旨」を使うべき場面

  • 報告書や論文:主張の要点を伝えるとき
  • 会話のまとめ:何を言いたかったのか整理するとき

 

例文

報告書の主旨は、販促活動の効果検証です。

 

まとめ:「趣旨」と「主旨」の違いを正しく使い分けよう!

最後に、この記事の主旨趣旨をそれぞれにまとめてみましょう。

 

この記事の「主旨

「趣旨」と「主旨」という2つの言葉の違いを理解し、正しく使い分けられるようになること。

 

この記事の「趣旨

同音異義語の誤用を防ぎ、より正確で伝わる日本語表現を身につけてもらうこと。

 

似ているようでまったく違う「趣旨」と「主旨」。

使い分けができると、文章も発言もぐっと伝わりやすくなります。

 

今後、文書を書くとき・話すとき、「これは“目的”なのか? それとも“要点”なのか?」と一度立ち止まって考える習慣を持ってみてください。

 

言葉の使い方ひとつで、あなたの伝える力が大きくレベルアップしますよ!

 

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ゆいと

語源と意味の研究系ブロガー|ブログ歴5年|言葉の意味や語源、日常で使われるフレーズや雑学を発信|難しいことをわかりやすく、を意識して書いています。

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