「髪を掻ける」「耳に髪を掻ける」
こういった表現、普段の会話や小説などで見かけることがありますよね。
でも、ちょっと待ってください。
その「掻ける」、本当に正しく使えていますか?
「描ける」や「掛ける」と混同している人も少なくないこの言葉。
「なんとなく雰囲気で使ってたけど、実は意味をちゃんと知らない…」という方も多いのではないでしょうか。
今回は、「掻ける」の正確な意味や使い方、さらに語源や類義語との違いまで、しっかり解説していきます!
「掻ける」の意味とは?辞書的な定義をチェック!
まずは国語辞典などでの「掻ける」の意味を見てみましょう。
「掻ける」の定義(広辞苑より一部意訳)
手や道具で、髪や物をかき寄せるように動かす。また、物の一部を寄せる・除くようにして動かす。
つまり、「掻ける」は以下のような動作を指す言葉なんです。
- 髪を耳にかき寄せてまとめる(=髪を掻ける)
- 手で砂を脇にどけるように動かす(=砂を掻ける)
- 手で水をかいて泳ぐ動き(=水を掻ける)
「掻く」の可能表現(〜できる)ではなく、「掻く」という動作そのものの変化形と考えるとわかりやすいです。
誤用例に注意!ありがちな間違いとは?
「掻ける」は日常ではあまり使われない漢字表記なので、他の「かける」と混同されがちです。
ここでは間違いやすい表現をチェックしてみましょう。
よくある誤用
×「彼女が前髪を耳に掛けるしぐさが好き」
一見正しそうですが、「掛ける」はモノを上に置いたり、物理的に「掛かる」ことを表す漢字です。
この場合は「掻ける」が適切。
×「髪を描けるように整える」
「描ける」は「描く」の可能形で、「絵を描く」行為のこと。髪の話には不適切。
正しい表現:「前髪を耳に掻ける仕草が美しい」
このように、髪を手でかき寄せる動作に対して使うのが「掻ける」の正解です!
「掻ける」の語源をたどる
「掻ける」という言葉、もとをたどれば動詞「掻く(かく)」に由来します。
「掻く」とは?
「掻く」は古語からある日本語で、「手や道具などでひっかいたり、かき混ぜたり、こすったりする」行動を指します。
例
- 頭をかく
- ご飯をかき混ぜる
- 汗をかく(この「かく」は別語源)
「掻ける」は、「掻く」の自動詞的な派生語で、特に一部を手や指でかき寄せる動きに特化しています。
つまり、
- 「掻ける」=指や手を使ってモノを一部移動させる、寄せる動き
というニュアンスが含まれているんですね。
使い方のバリエーションを覚えよう!
では、実際に「掻ける」はどういったシーンで使えるのでしょうか?
例文を交えて見ていきましょう。
日常会話での使用例
「彼女が髪を耳に掻けた瞬間、ドキッとした」
⇨自然な使い方。髪を指で耳に寄せる動作。
「前髪を軽く掻けて、顔を出す」
⇨ 髪をかき分けるしぐさを表現。
文学や表現豊かな文章で
「彼女は目にかかった前髪を、そっと耳に掻けた」
⇨繊細で情緒的な描写に最適な表現。
「砂を一掻け、火の中にくべた」
⇨小説や詩的な文章では、動作の描写としても使えます。
※ただし、やや文語的で硬い印象があるため、日常会話よりも文筆表現やナレーションなどで活用されることが多いです。
「掻ける」と他の「かける」たちの違いは?
「かける」という読みを持つ漢字は非常に多く、意味もさまざま。
以下に代表的な「かける」の漢字と意味を簡単に整理してみましょう。
漢字 | 読み | 意味 |
---|---|---|
掛ける | かける | モノを掛ける、時間・金を使う |
欠ける | かける | 一部がなくなる |
書ける | かける | 文字や文章を書くことができる |
描ける | かける | 絵を描くことができる |
賭ける | かける | 賭博、リスクを取る |
掻ける | かける | 手や指で物をかき寄せる ← 今回の主役! |
「掻ける」はその中でもややマイナーな存在ですが、使いこなせると表現の幅が一気に広がる、文学的にも魅力的な言葉です。
ちょっとマニアック!辞書によっては載ってない?
「掻ける」は常用漢字ではないため、スマホの変換では出てこないことも多いです。
また、国語辞典によっては「掻ける」を単独の項目として載せていない場合も。
その場合は「掻く」の項目内に「〜掻ける」という形で記載されていることがあります。
【注意点】
- 誤字として「書ける」や「描ける」に変換されやすい
- スマホ変換では「かける」→「掻ける」が出ない場合は手書き入力か辞書登録がおすすめ!
まとめ:「掻ける」は繊細な日本語。正しく使えば表現が一段上に!
最後にもう一度ポイントをおさらいしましょう!
- 「掻ける」は「手や指で物をかき寄せる、除ける」動作を表す
- 「髪を耳に掻ける」「前髪をそっと掻ける」が自然な使い方
- 誤用されやすい「掛ける」や「描ける」とは意味がまったく違う
- 語源は「掻く」=かき寄せる動作
- 文学的な表現にもぴったりな、日本語の美しい一語!
日常的にはなじみが薄いかもしれませんが、「掻ける」は知っていると文章表現の精度がぐっと上がる言葉。
何気ないしぐさも、「髪を耳に掻ける」と表現すれば、ぐっと品のある描写になりますよ。